インドアゴルフはここ数年で一気に店舗数が増え、「省人化でも運営できるビジネス」として注目を集めています。
- 年商◯千万円も可能
- 居抜きで1,000万円開業も
- 未経験でも開業OK
そんな言葉をよく見かけます。
しかし、実際に店舗をつくる立場から言えば、それらは“特定条件下”でのことであり、現実とは大きく異なります。
私たちは2020年に1号店「i8GOLF&FITNESS下諏訪店」を開業し、黒字化までに約2年を要しました。
その後、松本市にオープンした直営2号店では、内装・機材・看板・広告などの開業資金をすべて積み上げると、初期投資は約4,770万円。
数字だけを見ると驚くかもしれません。
けれども、打席数・機材品質・安全施工・システム連携などを考慮すれば、この金額こそが「現実的に成立する開業資金の水準」でしょう。
この記事では、実際に私たちが出店・運営してきた経験をもとに、
- インドアゴルフの開業資金はいくら必要なのか
- 何にどれだけ費用がかかるのか
- どこを抑えて、どこに投資すべきか
を、具体的な数字とともに解説します。
これから開業を検討している方には、「失敗しない資金計画」の参考にしてみてください。
インドアゴルフ経営は、誰でも儲かるビジネスではありません。だからこそ、最初の資金設計が“すべての分かれ道”になります。
なお、実際の経営でどのように黒字化までたどり着いたのかは、以下の記事でにて詳しく解説しています。
他にも気になることがある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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なぜインドアゴルフの開業資金は高いのか
「インドアゴルフは少スペースから安く始められる」
そう思われがちですが、実際には、店舗条件の厳しさと設備投資の大きさが、開業や経営の難易度を上げる要因です。
シンプルな空間に見えても、実は“特殊条件”なのがインドアゴルフです。
天井高・防音・空調など、店舗条件が特殊


まず、インドアゴルフの出店で最初にぶつかる壁が「天井高」と「構造条件」です。
一般的なオフィス物件やテナントでは、天井が2.4〜2.6メートルしかなく、スイングに必要な最低3メートル以上の高さを確保できない場合が多く、物件探しのハードルが高いのが現実です。
さらに打球音がするため、防音・遮音施工が欠かせません。また、防音対策をしても音はゼロにはならないため、近隣物件との関係も重要です。
加えて、室内の温度管理。とりわけ冷房対策は必須。場合によっては、空調設備の容量増設、それにともなう電力容量の拡張工事も念頭に入れる必要があります。
こうした“見えないインフラ整備”が積み重なることで、開業資金が膨らんでいきます。
このようにインドアゴルフ開業では、選べるテナントは少なく、狙ったエリア、希望の条件や家賃で物件を選べることは稀でしょう。
高性能シミュレーションゴルフが費用の中心
インドアゴルフの「顔」となるのが、シミュレーションゴルフ機器。そしてこの機器こそが、開業資金の大半を占める最大の要素です。
価格帯はメーカーや機能によって異なりますが、1台あたり300〜400万円前後が一般的です。6打席を設置すれば、それだけで1,800〜2,400万円に達します。さらに、オートティアップやスイングプレート(傾斜システム)などを加えると、さらなるコスト増につながります。
「もっと安いシミュレーターもある」と思うかもしれません。しかし、安価な機器は精度・反応速度・分析機能が限定的で、そのまま顧客単価や継続率の低下につながります。
たとえば、ボールスピードやスピン量の測定誤差が大きいと、上達の実感が得られず、利用者の満足度は下がります。その結果、入会率・継続率のどちらも落ちてしまうのです。
逆に、精度の高い機種(OKONGOLF、GOLFZON、TrackManなど)は、“使う理由”そのものをつくり、リピートを生みます。
インドアゴルフでは、この「機材の質」がそのまま売上構造を決めると言っても過言ではありません。
左打席対応の有無でもコストが変わる
もうひとつ意外に見落とされがちなポイントが、左打席対応です。
左打ち兼用の打席を設ける場合、センサーやスイング分析カメラの追加、打席幅の確保などで、1打席あたり100万円以上コストが上がることもあります。
ただし、i8GOLFグループでの実際の需要は全体の2〜3%程度。100人の会員がいて、左打ちが2〜3人いれば多い方です。
つまり、費用対効果を考えれば「対応しない」という判断も十分合理的です。
もちろん、全員に利用してもらいたいという運営者の気持ちも理解できますが、回収の見込みを冷静に見積もることも大切です。
このように書いていますが、i8GOLFは左打席を設けている店舗のほうが多いです。これは「地域のゴルフ練習場」としてより多くの方に使っていただきたい想いがあるため、採算性を度返しで左打席を設けています。
無人運営にはシステム投資が欠かせない
「無人運営だから、人件費が浮く」と考える方も多いでしょう。しかし実際には、無人運営を成立させるためのシステム投資が必須です。
お客様に快適に安心して利用してもらうために、予約システム、入退館システム、監視カメラなど、複数のシステムを活用する必要があります。さらにシステム同士が連携していることが理想的です。
たとえば、「予約システムとシミュレーションゴルフ」、「予約システムと入退館システム」が連動していなければ、「予約していない人が利用してしまう」など、運用面でのトラブルが起こります。
予約システムは、現在では、hacomono、STORES、ゴルレン、MUJINなどインドアゴルフに特化したサービスも増えています。価格も重要ですが、システム連携の可否や、基幹システムとしての安定性や保守体制も重視して選びたいところです。
実際にやってみて分かったこと
- インドアゴルフを出店できるテナントは限られている
- 安い設備は初期費用こそ抑えられても、継続率の低下で回収が遅れる
- 無人運営を成立させるには、ITとセキュリティへの投資が欠かせない
次の章では、「実際に松本店ではいくらかかったのか?」
実際の費用内訳(4,770万円)のリアルデータを基に、項目別の投資バランスを公開していきます。
【実例】i8GOLF松本店における開業資金の内訳

「実際にいくらかかるのか?」
ここが最も知りたいポイントだと思います。
私たちが2022年にオープンした「i8GOLF松本店」は、6打席・約60坪規模の店舗です。
このときにかかった総投資額はおよそ4,770万円。
一見「高い」と思われるかもしれませんが、この金額には“本当に必要な要素”がすべて含まれています。
開業資金の内訳(実データ)

| 費目 | 金額(円) | 内容・補足 |
|---|---|---|
| 店舗内装費 | 2,500万 | スケルトンからの工事 |
| シミュレーションゴルフ6台 | 1,800万 | 左対応含む (セットアップは自社対応) |
| 入退館システム | 50万 | 顔認証システム |
| 監視カメラ・セキュリティ関連 | 100万 | 監視カメラ、警備システム |
| テナント初期費用 | 120万 | 敷金・礼金・前家賃含む |
| ネットワーク・PC・タブレット機器 | 60万 | 事務用PC、タブレット、ハブ等 |
| 什器・家具(テーブル・椅子・棚など) | 30万 | 各打席や休憩スペース |
| 貸しクラブ・小物類 | 10万 | 男女用1セット+消耗品 |
| 看板・外装サイン工事 | 50万 | 外壁看板・ガラスシート (デザインは自社・流用) |
| 広告費(チラシ・WEB広告・新聞) | 50万 | 開業初期キャンペーン費用 (デザインは自社・流用) |
| HP・予約システム | 0 | 既存のものを利用 |
| 合計 | 4770万 |
ここで紹介する数値は、2022年当時の実績ベースです。
金額はあくまで「ひとつの参考値」であり、同じ条件で再現できることを保証するものではありません。
i8GOLFとしては、この松本店で3店舗目の出店でした。過去の施工実績をもとに内装・機器設置を一部自社対応することで、コストを圧縮しています。また、既存店舗と共通のデザイン・システム・広告素材を流用するなど、スケールメリットによるコスト最適化を実現しています。
これから開業される方が同等の条件で実施するのは難しい場合もありますので、あくまで「参考事例」としてお読みください。
開業資金を構成する3つの主要コスト
ここでは上記の費用のうちポイントとなる主要コストを3つ解説します。
①内装・設備工事(約2,500万円)
最も大きな費用が「内装」。打席・パタースペース・空調・電気・水回りなど、安全で快適に打てる空間をつくるための土台です。
松本店は、居抜きではなくスケルトンからの工事でした。もともとあった設備といったら自動ドアくらいでしょうか。よかった点としては、店舗すぐには民家はなく、2階には他の店舗も入っていなかったため、特別な防音対策は不要でした。
十分な広さがあったため、打席仕様はオープン打席。打席幅を3.5mと広くとり、防球ネットでの仕切りとしました。防球クッションは利用していません。


天井は作らずに、鉄骨むき出しです。そのためか、雨の音が大きかったり、断熱効果がないのか夏は冷房をMAXにしないと暑さがこもります。

② シミュレーター機器(約1,800万円)
インドアゴルフの“心臓部”です。台数を増やせば単純に投資額も上がりますが、その分売上上限(定員数)も増えます。逆に、安価なシミュレーターでは継続率・満足度が下がり、「結局、安物買いの銭失い」になることも。
松本店では、6打席すべてにOKONGOLFを導入。そのうち、左右打席を1打席設けました。オートティアップは設置していません。当社の場合は、自社でセットアップ・設置を行うため、作業費の面では費用圧縮ができています。
③ 看板・広告・集客費(約100万円)
見落とされがちですが、開業時の広告は生命線です。どんなに良い店舗でも、最初に“存在を知られなければ”始まりません。
松本店では、看板やガラスシートなど店舗視認性の確保と、ポスティング・SNS広告・新聞広告の併用で、オープン初月から150名の会員を獲得しました。


ここでかかった費用は、広告費であり、デザイン料は含まれていません。デザインはすでにオープンしている店舗のものを横展開。ホームページもページ追加で対応しているため費用はかかっていません。この点は、複数店舗運営のスケールメリットでしょう。
通常、ゼロからの開業の場合は、集客に関しては以下のような費用も追加でかかってきます。
- ホームページの構築費
- カメラマンやモデル手配
- ロゴ制作費
- チラシ、パンフレット、看板、WEBバナーなどのデザイン費
実際にやってみて分かったこと
- 規模にもよるが、開業資金は4,000万〜5,000万円規模が目安
- 打席数・機材をケチると「売上上限」が下がる
- 安くつくるより「早く回収できる構造設計」が大切
次の章では、開業資金を押し上げる“落とし穴”と、抑えるための具体策を解説します。
開業資金を押し上げる3つの落とし穴
インドアゴルフの開業では、「見栄えを良くしたい」「付加価値をつけたい」という気持ちから、つい必要以上の投資をしてしまうケースが少なくありません。
その結果、初期投資が膨らみ、回収に時間がかかる・・・
これが最も多い失敗パターンでしょう。
ここでは、実際の事例から見えてきた「3つの落とし穴」を紹介します。
①ラグジュアリーな内装を求めすぎる
まずありがちなのが、「内装の豪華さ」です。
確かに、高級感ある内装は映えます。しかし、インドアゴルフの多くの利用者が求めているのは、“雰囲気”ではなく“練習環境”です。
たとえば、
- 豪華な照明や、必要以上の壁面パネルを入れて内装費が倍増
- デザイン家具を揃えても誰も座らない
そんな“見た目投資”が、コストを押し上げます。
都会の富裕層エリアであれば、「高額会費×高級内装」というモデルも成立するのでしょう。
一方、地方都市での高級路線は、ターゲットが限られ、結果的に客単価と会員数のバランスが取れないリスクが懸念されます。
店舗やブランドコンセプトによりますが、見た目よりも
でしょう。
②個室・半個室の設計で坪効率が悪化する
「プライベート空間を提供したい」という発想から、個室や半個室にするケースも多く見られます。
ただし、個室化=坪効率の悪化です。1打席あたりに必要なスペースが増えるため、同じ広さでも設置できる打席数が減ってしまいます。
インドアゴルフは打席数=売上上限です。つまり、打席を減らすということは、最初から上限を下げて開業するのと同じ意味になります。
さらに、個室設計では防球クッションや仕切りの壁が必要になり、施工費用も跳ね上がります。
私たちは何店舗も運営してきましたが、最終的に最も効率が良かったのは「オープン打席+防球ネット仕切り」。開業資金を抑えながら、打席数の両立が可能でした。
打席数を減らしてまで“個室化”するメリットはあるかはケースバイケース。人目が気になるという方には、パーテーションを設置するのもひとつの方法です。

開業資金と打席数確保の観点から言えば、
でしょう。
広告・集客を軽視してしまう
開業直後にありがちなのが、「まずは店舗ができてから広告を考えよう」という判断です。
しかし実際には、広告を後回しにするとオープン時の集客が失敗します。どんなに良い設備を整えても、“存在を知られなければ”お客様は来ません。
特に、インドアゴルフは地域密着型ビジネス。最初の1〜2カ月でどれだけ「地域の認知」を取れるかが勝負です。
とはいえ、チラシを大量配布しても効果は薄く、費用対効果で言えば、
の順です。
ターゲットが40代以上の男性ゴルファーであることを考えれば、検索広告・SNS広告・地元紙掲載の組み合わせがもっとも効果的でした。
オープン初期の広告は「コスト」ではなく「投資」。認知を取れなければ、設備投資も回収できません。
練習場として合理的な設計がおすすめ
インドアゴルフの開業では、「少しの差を埋めるために数百万円の追加投資をしてしまう」ケースが多いです。
ですが、本当に必要なのは“魅せるための店舗”ではなく、“続けてもらえる店舗”を設計すること。“見た目よりも仕組み”、それが私たちが現場で痛感した結論です。
恥ずかしながら、具体例を出すと、下諏訪店の自動販売機のラッピング。これは、本気でいらなかったと反省しています。店舗側の自己満以外の何物でもありません。。。


実際にやってみて分かったこと
- 豪華さよりも実用性。
- 打席数が“上限”を決める。
- オープン時は、費用対効果に留意しつつ広告にコストはかけるべき。
次の章では、 開業資金を抑えるための7つの実践ポイントを紹介します。
どこで削り、どこに投資すべきか。その判断軸を具体的に整理します。
インドアゴルフ開業費用を抑えるための7つのポイント
「少しでも安く開業したい」
誰もがそう考えると思います。
しかし、やみくもに削減してしまうと、“見えないコスト”として後から返ってくるケースも少なくありません。
ここでは、実際の運営経験をもとに、「費用をかけるべきところ」「抑えても問題ないところ」を整理しました。
① オープン打席で施工費を抑える

最も大きなコストダウン効果があるのが打席設計の工夫です。
個室・半個室にすると、防球クッションや仕切りの壁が必要になり、施工費が一気に跳ね上がります。
一方で、オープン打席+防球ネットの構成なら、費用は半分以下に抑えられる場合もあります。
さらに、オープン打席は坪効率が良く、打席数を増やしやすい。結果的に「売上の上限(定員)」を増やすことにもつながります。
ただ、防球クッションの方が強度や防音のメリットがあります。防球ネットではボールの勢いを吸収しきれないことや、ネットが切れてしまうことも。もしもの衝撃や打球音の許容範囲次第では、クッション施工がいいでしょう。
インドアゴルフは、多くの方が利用されます。その中には、ゴルフ上級者もいれば、これから始める方もいます。予想外のショットがでることがあるのは肝に銘じておきましょう。下諏訪店や松本店のダメージを載せておきます。


②豪華な内装より“快適に練習できる環境”を重視

内装をラグジュアリーに仕上げても、多くの利用者が求めているのは、「ゴルフを快適に練習できる環境」です。
打席の清潔感・室温などの快適さの方が、圧倒的に継続率に直結します。
内装費を抑えたいなら、
- 壁面は壁紙仕上げ
- 照明はシンプルなLED
- 床は耐久性重視のカーペットや塩ビタイル
このあたりのバランスで十分です。
設置する家具も一般的な椅子やテーブルで十分です。屋外練習場とちがって、利用時間が決まっているインドアゴルフでは、休憩はそこそこに利用される方がほとんどです。
③ 安全面だけは“節約NG”
打席設計で最も重要なのが安全性です。打席幅を狭くしすぎると、利用者同士の接触や、ボールの跳ね返り事故につながります。
特にトップしたボールはスピンが強く、壁や床に当たって跳ね返る危険性があるため、スクリーン・防球ネット・緩衝クッションの施工はケチってはいけません。
安全性は“費用”ではなく“信頼”の問題。ここを疎かにすると、結果的に利用者のケガなどのトラブルにつながってしまいます。
④備品は最小限で十分
レンタルクラブ・シューズ・グローブなどを揃えようとすると、意外とコストがかさみます。
ただし実際は、これからゴルフを始める方以外、体感で99%の利用者がマイクラブを持参しています。
したがって、駐車場がない駅前などの特殊条件を除き、レンタルクラブは「男女1セットずつ」で十分です。安価なグローブは販売しつつ、貸し出し用のグローブやシューズは不要でしょう。
⑤ 店舗の“サイン計画”に投資する
地味ですが、看板・ガラスシート・のぼりは必須です。
インドアゴルフはローカルビジネスなので、店舗前の通行者=潜在顧客です。
「ここにゴルフ練習場がある」と一瞬で理解される外観をつくること。これは、長期間効果が続く“地元認知の投資”です。
⑥ 広告・デザインは内製化できるところから始める
チラシ・WEB広告・SNS・ホームページを外注すると、1つで数万円の費用がかかります。
しかし、今はテンプレートが豊富にある無料のデザインツールも豊富です。内製化できる部分を増やすことで、年間で大幅なコスト削減が可能です。
特に、SNS運用やGoogleビジネスの投稿などは、現場スタッフでも撮影・投稿できるので、基本的に自社でやる。外注するなら伴走型にして、自走できるようにアドバイス・サポートを受けるのがいいでしょう。
また、ココナラやランサーズ・クラウドワークスといったスキルシェアサービスを利用して、個人でサービスを提供している方に依頼するのも手段のひとつです。ただし、一般的な企業に比べると、信用や品質に不安があるので、価格だけで飛びつかずに慎重に依頼先を決めましょう。
⑦ フランチャイズや開業サポートを活用する
初めて出店する人にとって、ゼロからすべてを構築するのは時間もリスクも大きいです。
フランチャイズや開業コンサルを活用すれば、すでに実績のある内装仕様・集客導線・システム構成を利用することができます。
設計・試行錯誤・広告設計の手戻りが減るため、結果的に数百万円単位で費用と時間を短縮できます。
実際にやってみて分かったこと
- 「削る場所」と「削ってはいけない場所」を見極めることが重要。
- 打席数・安全性・機材の品質は“収益の根幹”。
- 広告・内装・備品などは“最小構成”でも十分成立する。
次の章では、補助金・助成金を活用して開業資金を軽減する方法(採択しやすい制度と注意点)を解説していきます。
補助金・助成金で開業資金を軽減する
インドアゴルフの開業には数千万円単位の資金が必要です。そのため、補助金や助成金を上手に活用することで、資金負担を軽減できます。
ただし、補助金は「誰でももらえるお金」ではありません。制度の目的を理解し、正しい申請設計と根拠づけが必要です。
ここでは、実際に活用しやすい制度と、採択されやすい計画づくりのポイントを紹介します。
小規模事業者持続化補助金
最も利用しやすいのが、この「持続化補助金」です。個人事業主・法人問わず利用でき、上限50万円(特定枠では増額)まで支援されます。
対象となる経費は幅広く、
- 看板・のぼり
- チラシ・パンフレット
- ホームページ・WEB広告(WEB関連費の上限あり)
など、インドアゴルフの開業に必要な販促費を幅広くカバーできます。機械装置や内装にも使えますが、上限金額からすると販促費に使うのがいいでしょう。
自治体独自の補助金・創業支援
各自治体でも、創業・起業を後押しする補助金制度を設けています。特に地方自治体では、“空き店舗活用”や“地域商業活性化”がテーマになっていることが多く、インドアゴルフのような地域密着型ビジネスは相性が良いです。
たとえば、
- 空き店舗を改装して開業する場合の「空き店舗改修補助」
- 起業初年度の「創業支援金」
- 雇用を伴う開業での「雇用促進助成金」
など。
地域ごとに条件が異なるため、必ず市区町村・商工会へ確認することが大切です。事後申請は認められない場合もあるので、事前相談が必須です。
私たちも1号店の下諏訪店では、町の「空き店舗」の補助金を活用させていただきました。
採択されやすい申請のコツ
当社では過去にいくつも補助金申請を受けてきました。そこで意識したのが、誰が読んでも納得できる申請内容にすること。具体的にいうとロジカルに申請書を書き上げることです。
根拠となるデータを添付する
商圏人口、競合状況、想定会員数など、現実的な裏付けを出すことで信頼性が上がります。
経費の目的を具体的に説明する
単に「広告を出す」ではなく、「どのターゲットに向けて、どんな内容を、どの媒体で、どの期間出稿するか。」その広告でどのような成果が見込まれるのか。を具体的に説明するようにしましょう。
補助金をうまく使えば、自己資金を減らすことができるだけでなく、開業計画そのものが整理され、経営の精度も高まります。仮に採択されなくてもマイナスになるわけではないので、取り組まない理由はありません。
実際にやってみて分かったこと
- 補助金は“もらうための書類”ではなく、“経営計画を磨くツール”。
- 申請を通じて、自分の事業を客観的に見直せるのが最大の価値。
- やってダメでも損はない。
次の章は、「スモールスタート vs 大規模開業、どちらが正解か」ンドアゴルフ経営の投資規模をどう判断するか、お伝えします。
スモールスタート vs 大規模開業、どちらが正解か
インドアゴルフを開業するにあたって、誰もが一度は悩むのが「どの規模で始めるか」という問題です。
初期投資を抑えてスモールスタートで始めるか、あるいは一気に大規模投資をしてリターンを狙うか。
実際のところ、どちらにもメリットとリスクがあります。ここでは、実際の事例を交えながら、判断のポイントを整理していきます。
スモールスタートのメリット・デメリット

スモールスタートのメリットとデメリットをまとめました。
スモールスタートのメリット
- 初期投資が小さいため、リスクを最小化できる。
- 小回りが効く。運営ノウハウを蓄積しながら、柔軟に改善できる。
- 撤退・転用リスクが低い。万一の撤退時も、他業種への転用や再利用がしやすい。
スモールスタートのデメリット
- 単打席あたりの単価が高くなる(スケールメリットが小さい)
- 利益の上限が低く、拡大フェーズに乗りづらい
- 集客効率が悪化しやすい(広告・人件費を回収しにくい)
以上のことから、スモールスタートが向いているのは、こんな方でしょう。
- 人口密度の低い地域での出店
- 初めてインドアゴルフを経営する人
- まずはテストマーケティングとして始めたい人
大規模開業のメリット・デメリット

大規模開業のメリットとデメリットをまとめました。
大規模開業のメリット
- 打席数を確保でき、売上上限が大きい。
- 固定費の分散ができ、利益率が上がる。共通経費(家賃・システム費)を打席数で割れるため、打席あたりの利益率が高くなります。
- ブランド認知・集客力を確保しやすい。
大規模開業のデメリット
- 初期投資のハードルが高い
- 固定費のプレッシャーが大きく、集客が安定するまで時間がかかる。
- 出店地の人口・ゴルフ人口に依存しやすい。
以上のことから、大規模開業が向いているのは、こんな方でしょう。
- 複数店舗展開を前提にしている人
- 既に他事業での運営実績や顧客基盤がある人
- 人口密度が高いエリアでの出店
打席数=売上上限。規模は「根拠」で決める
インドアゴルフの売上は、打席数で上限が決まります。
たとえば
- 1打席あたり定員:約40名
- 月会費:10,000円
5打席あれば、満員時の月商上限は、約200名 × 10,000円 = 200万円です。
この構造を理解せずに「とにかく大きく出店」すると、打席が余って固定費を圧迫するリスクが生じます。
逆に、商圏調査で“需要に根拠がある”場合は、最初から大きくつくる方が回収スピードが早い。
つまり「資金規模」ではなく「根拠の強さ」で決めるのが正解です。
“資金の大きさ”ではなく、“需要と採算性”から設計する
インドアゴルフの出店を考えるとき、
- テナントが広いから打席を多く作ろう
- 融資が通ったから、せっかくだし大型で始めよう
そう考えてしまう方も少なくありません。
ただ、実際には
が、黒字化までのスピードを大きく左右します。
このとき注意したいのが、周囲の“推奨”をそのまま信じすぎないこと。
銀行、シミュレーションゴルフメーカー、内装業者、フランチャイズ本部など、それぞれの立場で“大規模出店に賛成しやすい理由”があります。
もちろん、それぞれにメリットはありますが、経営の責任を負うのはオーナー自身。
だからこそ、第三者の意見だけでなく、実際のデータを踏まえて冷静に判断することが重要です。
実際、私たち i8GOLF の1号店(下諏訪店)は、打席6台構成の中規模店舗としてスタートしました。当時は「打席は多い方が安定する」と考え、やや大きめの規模で開業しましたが、実際には地域需要に対してキャパシティがやや過剰でした。
結果として、固定費や設備コストの負担が重く、黒字化までに約2年を要し、2025年には会費の値上げを実施しました。しかしその過程で、「どの規模が地域にとって最適なのか」を体感的に理解できたことが、その後の店舗展開の礎になりました。
つまり、「資金やテナントの広さに合わせる」のではなく、「地域需要に合わせて設計する」ことが黒字化の近道です。
投資額が多いほどリスクも大きくなります。大切なのは、“根拠を持って説明できる規模”で始めること。
数字と需要を見極めながら、無理のない設計で持続可能な店舗を作ることが、インドアゴルフ経営を成功へ導く最初のポイントです。
実際に私たちがどのように黒字化を実現したかは、こちらの記事でで詳しく紹介しています。
実際にやってみて分かったこと
- 打席数が多ければ良いわけではない。「稼働率 × 単価 × 継続率」がすべて。
- 根拠のない拡大はリスク。需要の裏付けがあれば、拡大はむしろ有効。
- 開業時の規模はでも、需要予測と採算性のある計画が肝。
まとめ|インドアゴルフ開業資金の考え方と、失敗しない判断軸
インドアゴルフの開業は、たしかにチャンスがあります。
しかし、“誰でも簡単に儲かる”わけではありません。
実際に運営してみると、初期費用の重さ・固定費の圧力・集客の難しさなど、表には出てこない課題がいくつも見えてきます。
私たちが複数店舗を運営する中で得た結論は、「お金をかける場所」と「抑える場所」を明確に区別することがすべてということ。
成功する人が共通して持っている3つの軸
① 集客をどう最適化・最大化できるか
広告に頼るよりも、“誰に・どう伝えるか”を設計できているか。立地・導線・価格設定・導入訴求の全てが集客力を左右します。「チラシ」より「動線設計」。これがインドアゴルフ経営の基本です。
② LTVをどう最大化できるか
単価を上げる、継続率を高める、稼働率を維持する。この3つのかけ算が、最終的な利益を決めます。
つまり、“長く通いたくなる店舗設計”が収益構造そのものです。
③ 無人運営の仕組みと人材の配置をどう整えるか
無人運営といっても、実際には“完全無人”では成立しません。入退館管理、契約変更、トラブル対応、清掃、案内。それらをどう効率化し、人が動かなくても回る仕組みにできるかがポイント。逆に、仕組みだけに頼ると、温度感がなくなり離脱率が上がります。
開業資金は「リスク」ではなく「再現性の投資」
開業資金は、“儲かる仕組みへの投資”です。
重要なのは、金額の大小ではなく、回収までの見通しが立っているかどうか。初期費用を安く抑えても、回収できなければ意味がありません。
逆に、明確な根拠があれば、大きな投資も十分に正当化できます。
実際にこの「投資を回収する構造」をどのように作ったのかは、以下の記事で解説しています。
開業前の方は、ぜひ合わせてご覧ください。
最後に:現場で培った知見を、これから挑戦する人へ
私たち i8GOLF は、1号店の赤字から黒字転換までに2年を要しました。その経験があったからこそ、今では複数店舗を運営できています。
このノウハウは、机上の理論ではありません。実際に現場で、課題にぶつかり、数字と向き合ってきた結果です。
もしあなたがこれからインドアゴルフを始めるなら、あるいは、すでに経営を始めて課題に直面しているなら
私たちの失敗と改善の記録が、必ず役に立ちます。
開業支援・フランチャイズ・運営サポートなど、あなたの現状に合わせたサポート体制を用意しています。
まずは一度、お気軽にご相談ください。でにインドアゴルフ経営している向けに無料で個別相談を行っています。
ぜひ一度ご相談ください。
お気軽にご相談ください